生徒さんが少しずつ減っていくと、教え方が悪いのかな、何かしてしまったのかなと、考え込んでしまいます。夜になっても、頭から離れない日もあると思います。
先に結論をお伝えします。退会を減らす近道は、引き止める言葉を探すことではありません。ふだんの関わりと、やめると言われたときの返事で、「また戻りやすい教室」を残しておくことです。
この記事では、「やめます」と言われる前と後に、先生ができることを3つに分けてお話しします。最後の2つには、そのまま使える例文も載せました。
この記事で分かること
- 退会を減らすために、「引き止めること」が近道ではない理由
- 「やめます」と言われる前に、毎回のレッスンでできる、ささやかな関わり
- 休会の期限の確認と、やめたあとのひとことの例文(2通)
「引き止める」より、ふだんの関わりが先です

退会の連絡が来てから、「もう少し続けてみませんか」と書きたくなる気持ちは、とてもよく分かります。
ただ、言われた側にとっては、その一言は、もう一度断らないといけない言葉になりがちです。やめると決めるまでに、すでに何日も迷っています。そこへ引き止めの言葉が届くと、ご家庭や生徒さんの気持ちが、かえって重たくなってしまいます。
だからこそ、「続けてほしい」という気持ちは、やめると言われる前に伝えておくほうが、ずっと届きます。ふだんの関わりが、いちばんの退会防止になる、ということです。
ここで言う関わりは、特別なことではありません。小さなことで大丈夫です。
- 生徒さんの名前を、レッスンのはじめに呼ぶ
- 前回できなかったことを、覚えていて、「今日は弾けましたね」と伝える
- レッスンの終わりに、次回の楽しみを1つだけ話す
どれも、先生の負担にならない、短い声かけです。毎回きちんとやろうとすると、続かなくなります。できる日だけで十分です。
できるようになったことを、その日に伝える

「やめたい」と思う理由のひとつに、「上達している気がしない」があります。ご本人は、少しずつ進んでいても、自分では気づきにくいものです。
そこで、できるようになったことを、その日のうちに、言葉にして伝えます。「先月は止まっていたところを、今日はつながって弾けましたね」のように、前と比べて、具体的に1つだけ伝えます。
ほめ言葉を大きくする必要はありません。事実を1つ、そのまま伝えるだけで、「見てもらえている」という気持ちが残ります。
保護者の方には、レッスンノートや、帰り際のひとことで伝えます。発表会のあとなどは、特に伝えやすいタイミングです。
もちろん、こうした関わりをしても、受験や転勤や体調など、教室の外の事情で、やめることになる場合があります。それは先生のせいではありませんので、どうか自分を責めすぎないでください。
休会の期限が近づいたら、「どちらでもいい」と先に書く
お休みに入った生徒さんは、退会と休会のあいだで、止まっていることがあります。期限が近づいたとき、先生から「戻りますか?」と聞かれると、答えを出さないといけない気持ちになります。
そこで、期限の確認は、どちらを選んでもいい、と先に書いてから、いまの気持ちを、ひとことだけ聞きます。急がせないことが、いちばん大事です。
例文です。◇◇(季節)、◇か月(休んでいる期間)、○○(お名前)を入れかえてお使いください。ご自分の言い方に直してもかまいません。
すっかり◇◇の季節になりましたね。
お休みに入られてから、そろそろ◇か月になります。
その後、いかがお過ごしでしょうか。
急がせるつもりはありません。
「もう少しお休み」でも、「いったん区切り」でも、
どちらでも大丈夫ですので、
いまのお気持ちを、ひとことだけ教えていただけたらうれしいです。
この例文では、「戻りますか?」という聞き方をしていません。「もう少しお休み」と「いったん区切り」を並べて書くことで、どちらを選んでも気まずくならないようにしています。
お返事が「いったん区切り」であっても、それは教室との関係が切れる、ということではありません。気持ちよく区切りをつけられた方は、また弾きたくなったときに、連絡しやすくなります。
やめたあとに、教室の出来事をひとつだけ届ける
退会した生徒さんとの関係は、そこで終わりではありません。ただ、「戻ってきませんか」と送るのは、おすすめしません。相手に、もう一度断る手間をかけてしまうからです。
おすすめなのは、数か月たってから、教室の出来事を1つだけ、お知らせすることです。発表会の日程、教室の春の変化など、先生が書きやすいことで大丈夫です。返事はいらない、と一言添えます。
例文です。◇月◇日(発表会の日にち)、○○(お名前)、△△(お子さんのお名前)を入れかえてお使いください。
お元気ですか。
◇月◇日に、教室の発表会をします。
お時間があれば、ふらっと聴きにいらしてください。
お返事は、なくて大丈夫です。
△△ちゃんにも、よろしくお伝えください!
送るのは、年に1〜2回までにします。何度も届くと、「営業されている」と感じさせてしまうからです。気持ちよく読める頻度を、先生ご自身の感覚で決めてください。
この1通を送っても、戻ってくるかどうかは、ご本人の事情やタイミング次第です。先生がやることは、「戻りたくなったときに、連絡しやすい状態」を保つところまでで十分です。
まとめ
退会を減らす、と考えると、つい引き止める言葉を探したくなります。でも、実際に効いてくるのは、ふだんの小さな声かけと、やめると言われたときに、関係を残す返事のほうです。
- 引き止めるより、「続けてほしい」は、やめると言われる前に伝える
- できるようになったことを、その日に、具体的に1つ伝える
- 休会の期限の確認は、どちらでもいい、と先に書く
- やめたあとは、教室の出来事を1つだけ届ける。返事はいらないと添える
「やめます」と言われると、何度経験しても、胸がきゅっとなります。それでも、最後の1通をていねいに送ることは、先生ご自身の気持ちを楽にしてくれます。
「やらなきゃ」を、「やれた」に。私は、いつでも先生の味方です。
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