チラシも広告も出していないのに、毎年なぜか生徒さんが増えていくピアノ教室があります。たいていは、紹介です。うらやましく思って「お友だちを紹介してくださいね」と言ってみたけれど、なんだか気まずいし、紹介はちっとも増えない。ピアノの先生から、よく聞くお話です。
先に結論をお伝えします。紹介は、お願いすると起きません。生徒さんが「語れる一言」を持っているときに起きます。
動画でも同じ内容をお話ししています。
紹介は「紹介してね」と頼んでも起きない
紹介が生まれる場面を、想像してみてください。生徒さんのお母さんが、ママ友とお茶をしています。「そういえば、ピアノ習わせてるんだよね。どう?」と聞かれる。このとき、お母さんの口から何が出てくるか。ここが、すべてです。
「うん、いい先生だよ」。これで、会話は終わります。悪い答えではないのですが、聞いた側は動けません。どこがいいのか、わからないからです。紹介が続かなくて当たり前なんです。先生の腕前の問題ではありません。
ところが、こんな一言が出る教室があります。「うちの先生ね、楽譜が読めなくても大丈夫って言ってくれるの」。これを聞いた人は、動けます。自分の子も、自分自身も、楽譜が読めないからです。
紹介が起きるかどうかは、生徒さんが説明しやすい言葉があるかどうかで決まります。そしてその言葉は、生徒さんが考えるものではありません。先生が先に用意して、渡しておくものです。
「決め手は何でしたか?」と聞いて、その言葉を口に出す
「用意すると言っても、キャッチコピーなんて書けない」と思われたかもしれません。むずかしく考えなくて大丈夫です。自分の魅力、教室の魅力は、自分ではなかなか気づけません。答えは、生徒さんが持っています。
やることは一つだけ。入ったばかりの生徒さんや保護者の方に、「うちを選んでくださった決め手は、なんでしたか」と聞いてみる。返ってきた言葉が、そのまま答えです。たとえば「怒られなさそうだったから」「発表会が強制じゃないから」「電子ピアノしかなくても大丈夫と言われたから」。先生が自分で考えた言葉より、選んだ人が言った言葉のほうが、何倍も強いんです。生徒さんは、頼られると意外にうれしいものです。
聞けた言葉は、メモしておきます。そして、レッスンの中でときどき口に出してください。「うちは、楽譜が読めないところから始める方が多いんですよ」。生徒さんや保護者の方は、先生が言った言葉を覚えていて、聞かれたときにそのまま使ってくれます。
紹介してくれた方へのお礼に、月謝の割引や品物は、なくて大丈夫です。お金がからむと、生徒さんは勧誘しているようで気まずくなります。いちばんのお礼は、言葉です。
集めた決め手の言葉をAIに渡して、募集文の一行にする
集めた言葉は、メモ帳にバラバラに並んでいるだけで大丈夫です。整えるのは、AIの仕事です。新しく入った秘書だと思ってください。集めた決め手の言葉を、そのまま貼って、次のように頼んでみてください。
あなたは、私のピアノ教室の募集文を考える担当です。
生徒さんから聞いた「決め手」の言葉はこちらです。
「怒られなさそうだった」「発表会が強制じゃない」「楽譜が読めなくても大丈夫だった」この言葉を使って、教室のことを知らない方にも伝わる募集文の一行を、三案作ってください。
すると、先生の言葉ではなく、生徒さんの言葉をもとにした募集文が出てきます。先生がやるのは、読んで、選んで、教室のプロフィールや体験レッスンの案内に貼るだけ。発表会のプログラムに一言添えておくのもおすすめです。
決め手の言葉は、体験レッスンや入会が増えるたびにたまっていきます。半年に一度、新しい言葉を足してAIに作り直してもらうだけで十分です。
まとめ
- 紹介は頼むと起きない。生徒さんが「語れる一言」を持っているときに起きる
- 「決め手は何でしたか?」と聞き、その言葉をレッスンの中で口に出す
- 集めた言葉をAIに渡して、募集文の一行を三案出してもらう
今日やることは1つだけです。今日のレッスンで、お一人に「うちを選んでくださった決め手は、なんでしたか」と聞いてみてください。
先生の言葉より、生徒さんの言葉のほうが、何倍も遠くまで届きます。「やらなきゃ」を、「やれた」に。私は、いつでも先生の味方です。
YouTubeで毎週土曜の朝7時に、ピアノ教室の先生のお悩みにこたえる動画を公開しています。

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