「今週も、ほとんど弾いてこなかったな」。レッスンのあと、そう感じる日があります。保護者の方に何か伝えたほうがいいのか。でも、言い方を間違えて、教室を辞めてしまったらどうしよう。スマホを持ったまま、手が止まります。
先に結論をお伝えします。練習してこない生徒さんの保護者へは、「もっと練習を」とは書かず、できたことを1つ伝えて、お願いは小さく1つだけ渡します。責めない連絡のほうが、保護者の方も受け取りやすくなります。
この記事は、指導のしかたではなく、保護者への連絡と声かけに絞ってお話しします。
この記事で分かること
- 練習してこない理由を、決めつけずに受けとめる考え方
- 「もっと練習を」と書かずに、保護者へ伝える連絡文の例文
- レッスンで生徒さん本人にかける声かけの順番
「練習してこない」は、まず責めずに受けとめる

練習してこない理由は、外から見えません。宿題が多い時期かもしれませんし、ピアノのある部屋が使いにくいのかもしれません。ご家庭の予定が詰まっている可能性もあります。
理由が分からないうちは、「ピアノがきらいになったのではなく、忙しい時期なのかも」と考えておくと、連絡の言葉がやわらかくなります。決めつけないことが、いちばんの土台です。
もう1つ大切なのは、保護者の方も、すでに気にしていることが多い、という点です。「練習しなさい」と何度も言って、疲れているご家庭もあるでしょう。そこへ先生からも「練習が足りません」と届くと、逃げ場がなくなってしまいます。
だから先生からの連絡は、「できていないこと」の報告ではなく、「次の一歩を小さくする」お知らせにします。
保護者への連絡は「できたこと1つ」と「お願い1つ」
連絡文を書くときの型は、とてもシンプルです。次の3つだけです。
- いまの様子を、やわらかく伝える(責める言葉は使いません)
- お願いは、1日1回・1分のような小さな形を1つだけ
- 最後は、次のレッスンを楽しみにしていると伝える
1つめの例文です。練習の時間がとれていないようなときに、保護者の方へ送る連絡です。○○(お名前)や△△の部分を入れかえて、ご自分の言い方に直してお使いください。
最近の△△ちゃんは、レッスンの曲を、
お家で弾く時間がとれていないようです。
ピアノがきらいになったのではなく、忙しい時期なのだと思っています。
お家では、1日1回、1分だけ弾く、という形から始めてみてください。
レッスンでは、できているところを必ず見つけて、伝えていきますね。
ポイントは、「もっと練習を」と書いていないところです。代わりに、1分という小さな形を渡しています。1分なら、保護者の方も「それならできそう」と思いやすくなります。
2つめは、長い休みの前に送るお知らせです。休みのあいだの宿題を、1つだけにします。
◇月◇日から◇月◇日まで、教室はお休みです。
その間の練習は、「□□」を1日1回だけ弾く、で十分です。
お休みが明けたら、◇月◇日のレッスンで会えるのを楽しみにしています。
どうぞ、よいお休みをお過ごしください。
「で十分です」の一言が、保護者の方の肩の力を抜いてくれます。休み明けに弾けていなくても、先生が責めないと分かっているだけで、次のレッスンに来やすくなります。
できたことを、その日のうちに伝える

お願いの連絡ばかりが続くと、先生からの連絡が「また何か言われる」というものになってしまいます。だから、うれしい連絡を1通、まぜておきます。
3つめの例文は、できるようになったことを伝える連絡です。練習してこない生徒さんの場合も、レッスンの中に必ず「できたこと」があります。それを1つだけ見つけて送ります。
今日、△△ちゃんが「□□」を、
はじめて最後まで弾けました。
本人も、とてもうれしそうでした。
お家での見守りのおかげです。
次のレッスンでも、続きを楽しみにしています。
書くのは、できたこと1つだけです。その場で「次はここも」と足したくなりますが、そこはぐっとこらえます。うれしい連絡は、うれしいままで終えるほうが、保護者の方に届きます。
「お家での見守りのおかげです」は、少しだけ迷う一文かもしれません。実際には練習が進んでいない時期なら、「お家で応援してくださっているおかげです」のように、事実に合う言い方に変えてください。ここは、ご自分の言葉に合わせて直して大丈夫です。
レッスンでの声かけは、「できた」から始める
保護者への連絡と同じように、生徒さん本人への声かけも、順番を決めておくと迷いません。
- 最初に、できているところを1つ言葉にして伝える
- 弾いてこなかったことには、あまり触れない
- 「今日は1回だけ、いっしょに弾こうか」と、小さく始める
- 帰りぎわに、「また来週ね」と、楽しみにしていることを伝える
「どうして練習してこなかったの?」という聞き方は、生徒さんには責められているように聞こえます。聞くなら、「最近、ピアノのこと、どう思ってる?」のように、気持ちを聞く形のほうがやわらかいです。答えたくない様子なら、そこで終わりにして大丈夫です。
そして、生徒さんの前で言ったことと、保護者への連絡の内容は、そろえておきます。本人に「大丈夫だよ」と言ったのに、保護者には「練習不足です」と伝わると、信頼が揺れてしまうからです。
最後に、連絡を送る前の見直しです。書き終えたら、次の3つを確かめます。
- お願いは、1つになっていますか(あれもこれもだと、返事が来にくくなります)
- 先生の気持ちを、書きすぎていませんか(「困っています」「残念です」は1回までにします)
- 最後の1行は、次のレッスンの楽しみになっていますか
ここまでできていれば、ほぼ大丈夫です。あとは、お名前や曲名が合っているかだけを、もう一度見てから送ってくださいね。
AI(ChatGPTなど)に下書きを頼むこともできます。そのときは、お名前や連絡先を消してから貼ってください。AIはあくまで秘書です。先生が読んで、ご自分の言葉に直して送ります。
まとめ
- 「練習してこない」は責めずに、忙しい時期かもしれないと受けとめる
- 保護者へは「できたこと1つ」と「1日1回・1分」のような小さなお願いを1つだけ伝える
- レッスンでは「できた」から始めて、保護者への連絡と言うことをそろえる
今日やることは、1つだけです。いま気になっている生徒さんの、レッスンでできたことを1つ思い出してみてください。それを保護者の方へ、短く送ってみませんか。完璧な連絡文でなくて大丈夫です。「やらなきゃ」を、「やれた」に。私は、いつでも先生の味方です。
あわせて読みたい
「やらなきゃ」を、「やれた」に。私は、いつでも先生の味方です。
この記事の文例を、まとめて使える形にしました
保護者への連絡文、もう30分も悩まない
月謝・振替・欠席・発表会まで、そのまま使える連絡文30通。
くわしく見る(14日間の返金保証つき)