ピアノ教室の体験レッスン、入会の話はどう切り出す?押し売りにならない最後の3分

体験レッスンは、とてもいい雰囲気で進んだ。最初の4小節を最後まで弾けて、ふたりで小さく拍手もした。ところが時計を見ると、残り3分。「月謝の話を今したら、押し売りみたいかしら」と迷っているうちに、口から出たのは「今日はありがとうございました。また、よかったら」だけ。玄関のドアが閉まって、それきり連絡は来ない。

ピアノの先生から、こうした体験レッスンの終わり方の相談をよくいただきます。先に結論をお伝えします。

入会の話は、すすめなくていいんです。お知らせすれば、いいんです。

この記事では、体験レッスンの最後の3分で何を、どの順番で話せばいいかを、まとめてお話しします。

動画でも同じ内容をお話ししています。

もくじ

入会の話を言えずに終わると、相手は「迷子」になる

体験レッスンの終わりに玄関で見送るピアノの先生

体験を終えて帰っていく方は、駅のホームでスマホを出しながら、こんなことを考えています。

  • 月謝は、いくらなのかな
  • 曜日は、選べるのかな
  • 申し込みは、電話かな、メールかな

知りたいことが3つもあるのに、答えをひとつも持って帰っていません。家でホームページを開いても、すぐには見つからない。そのうち夕食の時間になって、スマホを置いてしまいます。

これは、入会をやめたのではありません。決めるための材料が、手元になかっただけです。

もうひとつ気をつけたいのは、何の案内もないと「あまり歓迎されていなかったのかな」と受け取られることがある点です。言わないのは、やさしさのようで、相手を迷子にしてしまうんです。

すすめない、お知らせする。紙1枚に3つと「今日できたこと」

お知らせの紙を見せながら説明するピアノの先生

「ぜひ入会してください」は、すすめる言い方です。相手はその場で答えを迫られます。「続ける場合は、こういう流れになります」は、お知らせです。相手は自分のペースで考えられます。駅の案内板が、何番線から何時に出るかを知らせているだけなのと同じです。売りこむのが苦手な先生ほど、ていねいなお知らせは得意なはずです。

お知らせする中身は、3つだけ。月謝、曜日の決め方、申し込み方です。さきほどの、駅のホームで考えていた3つと同じですね。これを紙1枚にまとめて手渡します。口で言うだけだと、帰り道には半分忘れてしまうからです。振替や発表会など細かい決まりごとは、聞かれたときに口で答えれば十分。紙は、入口だけを案内する地図です。家に持ち帰れば、ご家族と相談するときにも役に立ちます。

ただし、順番があります。いきなり月謝の話から入ると、やはり、かたくなります。お知らせの前に、「今日できたこと」をひとつ、具体的に伝えてください。「最初の4小節を、最後まで弾けましたね」「30年ぶりなのに、指がちゃんと覚えていましたね」。「お上手でしたよ」では残りません。どの曲の、どこが、どうできたかを言います。人は「できた」と感じたあとに「続けたい」と思うからです。

つい言ってしまう3つのひと言と、最後の3分の台本

最後の3分の台本を手に話すピアノの先生
  • 「どうでしたか?」…目の前の先生に聞かれたら「楽しかったです」としか答えられず、話が終わってしまいます。代わりに、今日できたことを伝えます。
  • 「いつでもいいですよ」…いつでもいい用事は、あと回しになります。代わりに「来週の土曜までに、ひとこと教えてくださいね」と日にちを添えます。
  • 「今日決めてくれたら、入会金は半額です」…これはすすめる言い方です。あせって決めた方は、あとで迷いが出やすくなります。

そして、いちばん大事なのが、最後の3分を台本にしておくことです。今日できたことを伝える。紙を渡して3つをお知らせする。返事の日にちを伝えて、笑顔で見送る。この流れを毎回同じように話せたら、残り3分で頭が忙しくなることはありません。次に何を言うかを考えなくていいので、相手の顔をちゃんと見ていられます。

台本の下書きは、AIに頼んで大丈夫です。月謝・曜日の決め方・申し込み方と、体験でよくある「できたこと」の例をメモにして、次の頼み方と一緒に渡してください。

あなたは、私のピアノ教室の体験レッスンの進め方を考える担当です。

体験レッスンの「最後の3分」の台本を作ってください。

最初に、今日できたことを具体的に1つほめます。

次に、続ける場合の流れ(月謝・曜日の決め方・申し込み方)を、すすめずにお知らせします。

最後は「ゆっくり考えてくださいね」で、やさしく見送ってください。

(このあとに、教室のことと、できたことの例を箇条書きで貼る)

出てきた台本は、そのまま読まずに、一度声に出してみてください。言いにくいところを、先生のいつもの言葉に直します。3回声に出せば、もう覚えています。お知らせの紙の下書きも、同じように頼めます。

まとめ

  • すすめない。お知らせする。
  • お知らせは紙1枚に3つ(月謝・曜日の決め方・申し込み方)。その前に、今日できたことをひとつ。
  • 最後の3分は、台本にしておく。

今日やることは1つだけです。月謝と、曜日の決め方と、申し込み方を、紙1枚に書き出してみてください。

最後の3分は、売りこむ時間ではありません。「また会いたいです」を、形にして渡す時間です。「やらなきゃ」を、「やれた」に。私は、いつでも先生の味方です。

YouTubeで毎週土曜の朝7時に、ピアノ教室の先生のお悩みにこたえる動画を公開しています。

この記事の文例を、まとめて使える形にしました

体験レッスンのあと、もう待つだけにしない。(文面18通+台本)

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